日本株で狙う関連セクターと投資戦略【完全ガイド】
要点だけ先に(TL;DR)
- 日本は洋上風力を2030年10GW/2040年30–45GWへ。浮体式は2040年15GW以上が目標。
- 日本の海は急深。浅海=固定式、深海=浮体式が有利という住み分け。
- 国内は石狩湾新港112MWが商業運転、響灘3MW(浮体式単機)も稼働。
- 投資は短期の材料(入札・制度発表)と中長期の量産・サプライチェーン育成で考える。
はじめに:なぜ今、浮体式なのか
日本は沿岸がすぐ深くなる急深の海域が多く、固定式の基礎を打ち込みにくい場所が目立ちます。ここで効くのが浮体式洋上風力。深海でも設置でき、保守・移設の柔軟性も高い方式です。政策面でも、2040年に浮体式15GW以上という目標が掲げられ、EEZ(排他的経済水域)での設置許可制度が整備されました。これにより海域の選択肢が広がり、プロジェクト形成が一段と現実的になっています。
固定式 vs 浮体式:超シンプル比較
- 固定式:浅海向け/世界的に実績豊富/コスト低め
- 浮体式:深海向け/設置自由度・保守性◎/現状コストは高め
- 日本の最適解:浅海=固定式、深海=浮体式の住み分けで総量を拡大
ワンポイント
水深50m超が一つの目安。日本近海ではこのレンジの海域が多く、浮体式の“出番”が多いという文脈です。
世界と日本の“いま”
- 世界:欧州(ノルウェー・英国・フランス)が商業運転を牽引。実稼働容量はまだ小さいものの、開発パイプラインは急拡大。
- 日本:石狩湾新港112MWが2024年に商用稼働。響灘3MW(浮体式単機)も2025年に商業運転入り。
- 次のフェーズ:目標明確化 → 海域拡大 → 量産化でコスト逓減というロードマップ。
国内主要プロジェクトの現在地
- 石狩湾新港(北海道)112MW:商業運転開始。国内最大級の商業用洋上風力。
- 響灘(北九州)3MW浮体式:単機・実証起源ながら商業運転へ。別途、固定式の大規模計画も進行。
- 秋田・千葉:合計約1.76GWの入札落札案件が進行(コスト再評価の報道はありつつ継続)。
- 北海道の新促進区域:松前・檜山など、地理的分散が進む見込み。
目標と制度:投資家が押さえる数字
- 目標値:2030年10GW/2040年30–45GW(洋上風力全体)
- 浮体式:2040年15GW以上(2025年に明確化。2029年度めどで大規模案件形成の方針)
- 制度・支援:EEZ設置許可制度、FIP移行・税制優遇・手続見直しなど環境整備が進展
関連セクターと主要プレイヤー
建設(ゼネコン)
- 清水建設:自航式WTIV/SEP船「BLUE WIND」で据付体制を可視化
- 大林組:TLP型浮体の実海域実証
- 鹿島建設:大型SEP船整備、海上基礎の施工実績
造船・重工・機電
- JMU(ジャパンマリンユナイテッド):Advanced Spar、EPCI実績
- 三菱重工:福島実証で7MW浮体式(現在はタービンOEM前線からは撤退)
- 川崎重工:出力平滑化電池など関連機器
- IHI:海洋構造物・海洋エネルギーの技術基盤
電力・商社
- 電力(東電・関電ほか):再エネ比率引き上げで関与拡大
- 商社(丸紅・三菱商事ほか):開発〜運営の統合でプロジェクト推進
- 産学官の研究組合(14社)で国内サプライチェーンの再構築が進む
素材・ケーブル
- 日本製鋼所(JSW):大型鋳鍛品の供給力
- 住友電工・古河電工:海底送電ケーブルの主力
- 注記:大型風車の国内OEMは現状不在(小型機は一部あり)。周辺サプライチェーンでの競争力が鍵。
投資戦略:短期と中長期を分ける
短期(イベント・ニュースドリブン)
- 反応しやすい材料:入札結果、促進区域指定、制度改正、受注・提携
- 観点:銘柄ごとの“材料反応のクセ”(発表前後の出来高・板)を把握する
中長期(ストラクチャル・グロース)
- 受注 → 建造 → 据付 → 運開が複数年にわたり業績化
- 浮体式15GW=量産フェーズへの道筋 → コスト逓減の期待
- EEZ展開×サプライチェーン育成で国内企業の“裾野”に追い風
主なリスクと備え
- コスト上振れ(資材・人件費・物流)
→ 価格スライド条項、受注選別、原価管理の徹底 - 金利・為替
→ 為替・金利ヘッジ、資金調達の多様化 - 系統制約・工期遅延
→ 蓄電・海底ケーブルの前倒し、接続計画の可視化 - 台風・海象リスク
→ 設計マージン、保険、保全計画の高度化 - 制度変更
→ FIP調整、税制の活用、自治体とのコミュニケーション
FAQ(よくある質問)
Q. 固定式と浮体式、どちらを見るべき?
A. 日本は浅海=固定式、深海=浮体式の住み分け。長期拡大の鍵は浮体式です。
Q. 国内企業の強みは?
A. 施工・造船・ケーブルなど周辺領域。大型風車の国産OEMは不在でも、サプライチェーンで稼ぐ発想が重要です.
Q. まず何からチェックする?
A. 受注残、設備(SEP/WTIV)、欧州連携、系統知見、契約リスク分担、キャッシュフローの質から。
まとめ:次の一手
- 短期は入札・制度発表のイベントカレンダーを追い、材料反応の“型”を掴む。
- 中長期はサプライチェーン全体に分散し、受注→運開の時間差で利益計上を読む。
- 情報源は各社IR/入札・促進区域の公示/港湾・系統整備計画を定点観測。
免責:本記事は特定銘柄の売買推奨を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。



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